日本でドローンが飛ばせなくなる?2022年に登録制度の導入決定。その後は…… - DroneStock

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株式会社ヴィンテージストック 長野県公安委員会 許可証番号:第481321600012号

日本でドローンが飛ばせなくなる?2022年に登録制度の導入決定。その後は……

目次
1.ドローン所有者登録の義務化
 1-1.概要
 1-2.法改正の背景
2.ドローン摘発 2019年は過去最多
 2-1.ドローンにより関空が大混乱
 2-2.ドローンのトラブルは年々増加傾向
3.今までの規制との違い
4.今後の見通し
 4-1.海外の事例
 4-2.日本の今後

1.ドローン所有者登録の義務化

1-1.概要

ドローン所有者登録を義務化される航空法改正案が6月17日、参院本会議で可決成立しました。この法改正を受け、国土交通省は2022年始めまでに登録制度を導入し、ドローン機体や所有者の情報を国に登録することを義務付ける方針です。登録せずに飛行した場合は罰金も課せられます。

登録内容は、所有者や使用者、機体の製造番号、電話番号など。これらをオンラインで政府に登録します。そして、具体的には車のナンバープレートのように個々でIDを取得し、IDが印刷されたシールをドローンに貼り付けます。

ゆくゆくは、空高く飛んでいるとIDを地上から識別できないので、無線通信を通じてIDを発信。地上の警察が、誰が飛ばしたドローンかを把握できるようになる予定です。

1-2.法改正の背景

千葉県千葉市の幕張エリアでの実証実験、福島県での郵便局による配送実験、離島に生活物資や薬等を配送する実証実験など、各企業等がドローンによる配達を成功させようと、安全性や運行方法などを熟考した上で実証実験を繰り返しています。

こうした流れの加速に鑑みて、政府は商用化によるドローンの飛行急増を予測。利用者の実態を把握する狙いが今回の法改正の背景です。

ドローンの商用化では、医薬品などの配達、通学中の子どもや高齢者の見守り、あるいは高層ビルの建築や点検などを想定されていて、企業活動や行政の生産性を向上する可能性は少なくありません。しかし、ドローンはテロやスパイ活動にも利用されやすい側面を持ち合わせています。そのため産業界も安全を確保するルールづくりを求めており、今後は空港周辺や防衛関連施設などを飛行するドローンがIDを発信しない場合は打ち落としたりする予定です。

とはいえ、これらは全て商用化での話。玩具など一定の重量を下回る超小型機体は規制対象から外れます。

2.ドローン摘発 2019年は過去最多

ドローンに関する法整備が急がれているのは、将来のことを考えて、という面もありますが、年々ドローンに関するトラブルが増えていることにも関係しています。特に2019年は関空が閉鎖となったことは記憶に新しいかと思います。

2-1.ドローンにより関空が大混乱

2019年10月19日の午後8時45分、空港周辺の上空にドローンのような飛行物体が確認され、確認のため関西国際空港の滑走路は閉鎖。約40分間に渡り全ての滑走路での離着陸が停止したため、計39便に遅れが出ました。

11月7日夜には、再び空港周辺の上空にドローンのような飛行物体が確認されたとして、午後10時15分ごろから8日未明にかけて2度にわたり滑走路が閉鎖され、計27便に影響が出ました。

そして、その2日後の11月9日午前8時ごろ、またもや関西国際空港の滑走路付近にて、職員がドローンのようなものを目撃。その報告を受け、関西国際空港は安全確認のため午前8時13分から全ての航空機の離着陸を停止。確認作業を終えた午前9時25分ごろから離着陸を再開したのですが、那覇行きと宮古行きの2便は欠航、他にも国土交通省大阪航空局によると、到着便19便、出発便25便の計44便が目的地を変更、あるいは遅延したりするなどの大混乱を引き起こしました。

しかし、ドローンによるトラブルは空港周辺に限りません。そして、2019年にはドローンのトラブルは過去最多を記録し、115名が検挙されています。

2-2.ドローンのトラブルは年々増加傾向

ここ数年のドローン事故件数は次の通りです。

2015年:12件
2016年:55件
2017年:63件
2018年:79件

そして、2019年は100件を超えています。

こうしたことからも、法整備が急がれている理由が垣間見えます。

ちなみに、ドローンを無許可で飛行させたケースに着目すると、動機は「記念撮影」が54件と最も多く、次に「操縦の練習」が多くて34件でした。そのほかには「業務での飛行」や「SNSへの投稿目的」なども見受けられ、稚拙で自分勝手な動機が目立ちましす。

また、2019年は先ほど申し上げた通り115人が検挙されましたが、そのおよそ半数が中国人やアメリカ人といった外国人です。訪日観光客が日本の法律を知らず、軽い気持ちでドローンを飛ばしてしまうケースも目立っています。

3.今までの規制との違い

今までの規制は、大きく分けると2つの趣旨があります。

1つが、ドローンの飛行を禁止する規制。
もう一つが、ドローンの飛行が禁止されているエリアでの飛行の許可制度です。

前者の「ドローンの飛行を禁止する規制」とは、ドローンは(A)空港等の周辺の上空エリア(B)150m以上の高さの空域(C)人口集中地区の上空 での飛行を禁止するものです。

そして後者は、そのエリアでの飛行をどうすれば許可されるのか、というものです。

要するに、今までは(A)空港等の周辺の上空エリア(B)150m以上の高さの空域(C)人口集中地区の上空 以外の空域ならドローンを飛行させることはできました。しかし、今後はA、B、C以外の空域でも(今まで許可なくドローンを飛行できるエリアにおいても)、自由に飛ばすことができなくなるわけです。

4.今後の見通し

4-1.海外の事例

中国では実名でのドローン登録がすでに義務付けられています。しかし、情報を適当に入力しても登録可能だったためトラブルが多発。登録システムの構造に欠陥があり、現在その修正中です。

一方、アメリカでは外国人がドローンを飛行させるには、所有するドローンを入国時に登録することが法律で定められています。登録はアメリカ連邦航空局(FAA)のホームページで行うことができ、仮に何かトラブルが起きた際にはすぐに対処できるよう、また、違法な危険ドローンが飛行できないよう、ルールの徹底を図っています。

↓アメリカでドローンを飛行させるための登録サイト↓
https://faadronezone.faa.gov/#/

世界的にもドローンの規制は進んでいて、今後は日本に限らず、世界でドローンに関する法整備が急ピッチで進んでいくと考えられます。

4-2.日本の今後

実は、日本においては、より現実的なドローンの免許制度について、政策会議ではすでに議題に上がっています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/anzenkakuho_dai9/sankou1.pdf

この資料には、今後検討すべきルールについて記載されています。そして、その中には「操縦者資格制度」についても触れられていて、「早期にルール化すべきもの」の項目には、操縦者資格の中で「ホビー用」と「事業用」との資格の種類を分類し、資格制度の検討を行っています。

さらに「継続した検討が必要なもの」項目では、二つの制度を将来的に検討し続ける、としています。

・リスクカテゴリ毎の操縦者の資格制度
・国家資格に準ずるレベルの資格制度

つまり、少なくとも今回ニュースとなったドローン免許制度は、第1段階にすぎないというわけです。そして、今後の流れとしては、この第一段階をキッカケとして、免許制度の幅を広げていくことに間違いはありません。

現状では「人々の生活を豊かにしていく」という点で、ドローン宅配の実現に向けた法制度が優先的になっていると思われます。しかし、無人航空機(ドローン)の運用では、とにかく安全第一です。

もし近い将来、人的な被害や事故が起きた場合、ドローン操縦者に関わる免許制度および付随する安全対策制度の整備が優先されると考えられます。

いずれにせよ、将来のドローン免許制度については、ドローン操縦者の一人ひとりの行動・心がけ次第といったところではないでしょうか。