ドローンに免許や資格が必要、と勘違いさせてしまう3つの事実
最近になって、ドローンの学校が各地で開校されたりして、ドローンを飛ばす際の資格や免許の有無を気にする人が増えています。
また、立て続けにドローンによる事件・事故が発生したこともあり、規制が厳しくなって「ドローンには免許が必要になった」と思い込んでいる方も急増しています。
たしかに、ドローンの操縦は簡単ではありません。航空法など、覚えることも少なくありません。しかし、結論から言えば「ドローンに免許は不要」です。ドローンは誰が飛ばしても問題ないのです。
そこで今回は、緊急企画「ドローンに免許や資格が必要、と勘違いさせてしまう3つの事実」についてまとめてみました。
目次
- 「ドローンの飛行には申請が必要」という事実
1-1.航空法
1-2.ホビードローンならどこでも飛行可?
1-3.総括 - 「ドローンの学校が増えている」という事実
2-1.ドロンスクールとは
2-2.ドローンスクール大手二社
2-3.総括 - 「ドローンに関する資格が存在する」という事実
- まとめ
1.「ドローンの飛行には申請が必要」という事実
ドローンの事故・事件が相次いで発生したため、日本政府はドローンに対する規制を設けました。そのため、多くの方が「ドローンを飛ばすには申請が必要」と思っているようですが、それは誤りです。冒頭でお話したとおり、ドローンは誰でも自由に飛ばせます。
確かに、ドローンの飛行には申請が必要な時もあります。それは事実です。しかし、あくまで申請が必要なのは、一部の飛行に限ってです。基本的には、誰でも自由に飛ばすことができます。
まずは航空法を見てみましょう。
1-1.航空法
2015年11月、ドローン航空法の施行により、例えば空港付近や人口集中地区、あるいは海抜150m以上の空域といった「ドローン飛行禁止区域」での飛行や、自動車・建物などとドローンとの間に30m以上の距離が保てない場合は、原則ドローンの飛行が禁止されました。そして、そうしたエリアでの飛行の際には、許可申請書類の提出が義務付けられています。
しかし、言い換えればドローン飛行禁止区域以外、かつ自動車や建物などとの間に30m以上の距離が保てるなら、誰でもドローンを飛ばしていいわけです。
また、この航空法は機体の重量が200g以上のドローンにのみ適用される法律です。つまり、200g未満のドローンなら関係なく飛ばせます。
1-2.ホビードローンならどこでも飛行可?
一般的に、200g未満のドローン(改正航空法適用外のドローン)は、「ホビードローン」と呼ばれています。そして、先述の通り、ホビードローンに航空法は適用されないため、地方航空局への申請は不要です。
しかし、ホビードローンに適用されない法律は、あくまで航空法だけです。いくら200g未満とはいえ、ホビードローンも「無人航空機」の一つですから、例えば「小型無人機等飛行禁止法」などの規制は守らなければなりません。
以下は改正航空法以外の守るべきルールです。
1-2-1.小型無人機等飛行禁止法
この法律は「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」です。
これにより、ドローンを規制区域内の屋外で飛ばす場合(屋内での飛行は対象外)、例え自宅の庭であっても事前の届出が必要です。
対象エリアは国の重要施設の周囲300mで、当然機体重量200g未満のホビードローンも対象です。そして、違反した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科せられます。
1-2-2.公園条例
国や都道府県が管理する公園の一部では、ドローンの使用が全面的に禁止されている場所もあります。東京都や長野県、愛知県などにおいては、都道府県が管理する公園は全てNGです。が、他の地域では飛行可能な公園もあります。ドローン飛行前に公園管理者に尋ねてみましょう。
1-2-3.重要文化財保護法
国の重要文化財周辺は、ドローンの飛行が禁止されています。重要文化財の周辺で飛ばす際は、必ず「施設の管理団体」に確認しましょう。
といっても、基本的には業務以外の撮影は許可が下りません。ホビードローンに限らず、重要文化財周辺での撮影・飛行は趣味の範疇なら断念しましょう。
1-2-4.プライバシー・肖像権、軽犯罪法、個人情報保護法
第三者が映りこんだ映像や画像をインターネットにアップロードした場合、プライバシーの侵害として迷惑防止条例に抵触する恐れがあります。
ホビードローンといっても、撮影する際は周囲の人を確認してからにしましょう。
1-2-5.道路交通法
(禁止行為)
【第七十六条四項】 何人も、次の各号に掲ける行為は、してはならない。
(①~⑥ 割愛)
⑦道路又は交通の状況により、公安委員会か、道路における交通の危険を生しさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれかあると認めて定めた行為。
【第七七条第一項】 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について、当該行為にかかる場所を管轄する警察署長(以下「所轄警察署長」という)の許可を受けなければならない。
両者ともドローンに関する明確な法律ではありませんが、公道上でドローンを飛行させたり離着陸させたりする場合には、その道路を管轄する警察署長の許可か必要になると考えるべきです。
1-3.総括
ドローンを飛行させる際、まず留意すべきは、その重量です。200g以上なら、航空法の適用になります。したがって、航空法を遵守すれば(空港付近や人口集中地区、あるいは海抜150m以上の空域といった「ドローン飛行禁止区域」以外で、自動車や建物などとドローンとの間に30m以上の距離が確保できるなら)自由に飛ばすことができます。
一方、200g未満のドローンについては、航空法は適用外ですから更に手軽に楽しめます。ただし、国や都道府県と言った自治体が管理する場所や、国宝などの重要文化財、総理官邸など、常識的に考えて「飛ばしてはダメかな」というところでは禁止されています。ホビードローンと言えど、いくつかのルールがあることは注意しましょう。
このように、確かに「ドローンの飛行には申請が必要」という事実はありますが、ドローンはルールさえ守れば誰でも自由に飛ばしていいのです。
2.「ドローンの学校が増えている」という事実
ドローンの学校、いわゆる「ドローンスクール」が全国で開校ラッシュを迎えています。まさに全国各地で、ドローンの学校は雨後のたけのこ状態です。
では、ドローンスクールとはどんなところなのでしょう。
そして、具体的にはどんなドローンスクールがあるのでしょう。
簡単に説明しますね。
2-1.ドロンスクールとは
一言で言うと、ドローンスクールは「塾」です。ドローンを操縦する上で必要な知識や技術が学べる場所です。
例えば、大学は卒業すると「学歴」になりますが、予備校はどんなにスパルタな有名校に通っても、それは学歴として認められることはありません。しかし、学力は確実に身に付きます。ドローンスクールもそんな所です。法律的なルールや基礎的な操縦方法を身につける場所です。したがって、予備校に通わなくても大学には入学できるように、ドローンスクールに通わなくてもドローンを飛ばすことはできますし、ビジネスにすることもできます。
ちなみに、「スクール」と言っても長期間通う必要はありません。平均的に2~4日間で完結し、基礎的なことが身に付いたら認定証をもらって卒業です。そして、どこの業界でもそうですが、ドローンスクールを卒業したからと言って、ビジネスになるわけではありません。
2-2.ドローンスクール大手二社
ドローンスクールは日本全国に点在していますが、各主要団体が独自の教材等を制作し、その団体の加盟企業が「スクール」として運営しています。いわゆるフランチャイズです。
主な親となる団体は二つです。
「一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)」と、「一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)」です。
JUIDAは日本で最初に組織化した団体です。ドローン関連のイベントやスクール指導を行っている社団法人です。
一方、ドローン操縦士協会はその名の通り、操縦の技量の発展に注力している団体です。
2-3.総括
上述の通り、確かに「ドローンの学校が増えている」という事実はあります。しかし、ドローンスクールは塾のような性格の場所です。したがって、ドローンスクールを卒業していなくても当然のようにドローンは飛ばすことができます。
3.「ドローンに関する資格が存在する」という事実
運転免許は道路交通法に基き、技能や知識を得て、審査に合格した者のみ運転免許を取得できます。そして、運転免許を取得した者のみが公道での運転を許されます。
しかし、ドローンの運転に関しては、免許というものは一切ありません。知識や技能テストもありません。ルールを守れば誰でも飛行させて構いません。
ただ、民間資格は存在します。民間資格とは、団体や企業が試験を行って認定する資格のことです。知名度の高いもので言えば、「漢字検定」が民間資格に相当します。とはいえ、この民間資格は法的に効力がありません。ですから「ドローンに関する資格が存在する」という事実こそありますが、この民間資格の取得の有無はドローンの飛行に一切の影響を与えません。
4. まとめ
ドローンは誰が飛ばしてもよいものです。しかし、飛ばしては行けない場所があるだけです。では、飛行禁止エリアはどうすれば調べることができるのでしょう。
実はとても良いサイトがあります。
これを参照に、ぜひ皆さんもドローンで新しい世界を見つけてください。