知らないと逮捕?ドローンを飛ばす際の6つの厳守事項
ドローンに限らず、マシンの操作に事故はつきもの。しかし、ドローンは空中を飛行するため、車などとは異なり墜落の危険もあります。また、小型化・高性能化していることから、盗撮やテロなど犯罪目的での使用も考えられます。
そんな中、相次ぐドローンの事故・事件が起き、ドローンのルールはさらに厳格化。いよいよ逮捕者も出始めています。
そこで今回は、ドローンを楽しむ際に知らないと、ひょっとすると逮捕されてしまうかもしれない6つの厳守事項をまとめてみました。
目次
- はじめに(私有地でなら何をしてもよい?)
- 6つの厳守事項
2-1.日中(日出から日没まで)に飛行させること
2-2.目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
2-3.地上又は水上の人又は物件との間に一定の距離を確保した飛行
2-4.多数の者の集合する催し場所上空以外の空域での飛行
2-5.危険物の輸送の禁止
2-6.物件投下の禁止 - 例外
- まとめ
1.はじめに(私有地でなら何をしてもよい?)
自動車の運転で免許が必要な根拠は、「道路交通法」です。
したがって、道路以外での運転に免許は不要です。要するに、私有地であれば誰でも車を運転して良いことになります。免許はいりません。
では、ドローンも私有地であれば自由に飛行させていいのでしょうか?
答えは「No」です。
多くの方が勘違いされていますが、ドローンは私有地であっても、自由に飛行させてはいけません。屋内はOKです。しかし、いくら私有地でも、屋外でのドローンの飛行は法律により一定の制限が課されています。
2.6つの厳守事項
今回お伝えする6つの厳守事項は、国土交通省の発表に基づいています。
(ただし、国土交通省に飛行申請をおこない、事前に許可承認を受けた場合には例外もあります)
では、実際に6つの厳守事項を確認してみましょう
2-1.日中(日出から日没まで)に飛行させること
航空法により、ドローンの夜間飛行はいかなる場所でも禁止されています。私有地でも禁止です。(ただし、屋内はその限りではありません。)
屋外でドローンを飛行させて良い時間帯は、日中のみです。具体的には、国立天文台が発表する「日出から日没まで」です。これは航空法第132条の2第1により定められています。夜間の飛行は、ドローンの位置ばかりでなく、周囲の環境の把握も困難になり、適切な制御ができない可能性があるからです。
日出・日没の時間を調べるなら(国立天文台のサイト)
2-2.目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
航空法第132条の2第2号では、ドローンの飛行は、目視により常時監視を行いながらできる場合に限定しています。
ここでよく勘違いが起きるのですが、FPV(First Person View;一人称視点。リアルタイムで伝送され、生中継される映像)で操作するケースです。
結論から言うと、FPVは「目視による常時監視」には当てはまりません。したがって、FPVのみの操縦は違法です。
簡単に国土交通省の解釈を説明しますね。
まず、目視とはドローンを飛行させる本人が自分の目で見ることです。そして、常時監視とは自分の目で機体が常に確認できることです。操縦者の補助をする人ではダメですし、モニターや双眼鏡、カメラ等を介して見ることは、視野が限定されるため「目視」 に相当しません。ただ、裸眼か矯正かは問われていないので、メガネをかけていても問題はありません。
2-3.地上又は水上の人又は物件との間に一定の距離を確保した飛行
航空法第132条の2第3号では、人、又は物件との間に、30m以上の距離を保って飛行させることが定められています。
ここでいう「人」とは、ドローンを飛行させる人の関係者以外、つまり第三者を指します。 一方、「物件」とは、第三者の建物や自動車を指します。
要するに、他人のものより30m以上離して飛ばしなさい、ということです。
これは第三者やその財産との衝突を防止するためです。
2-4.多数の者の集合する催し場所上空以外の空域での飛行
航空法第132条の2第4号では、祭礼、縁日など、多数の人が集まる催しの上空で飛行させないことを定めています。
仮にドローンが何らかの故障で落下して人に当たれば、大きな事故となるからです。
では、具体的には「多数の者が集合する催し」とはどんなものでしょう。
国土交通省では、航空法第132条の2第4号に明示されている祭礼、縁日、展示会のほか、以下のようなものが該当すると解釈しています。
- プロスポーツの試合
スポーツ大会
運動会
屋外で開催されるコンサート
町内会の盆踊り大会
デモ(示威行為)
など
※ただし、混雑による人混みや信号待ちなどは、多数のものが集合する催しに相当しないとしています。
2-5.危険物の輸送の禁止
航空法第132条の2第5号では、危険物の輸送の禁止を定めています。
薬類、高圧ガス、引火性液体など、これらを輸送するドローンが墜落した場合、爆発等大きな被害をもたらす可能性が高いからです。
具体的には航空法施行規則第236条の5及び「無人航空機による輸送を禁止する物件等を定める告示」にありますが、普通に考えて危ないもの(薬品や爆発物)の輸送は禁止されている、ということです。
2-6.物件投下の禁止
航空法第132条の2第6号では、ドローンから物を投下することを禁止しています。
飛行中に物を投下した場合には、地上の人などに危害をもたらすからです。
また、物を投下することにより、機体のバランスを崩すことも考えられます。ドローンの適切な制御に支障をきたすおそれもあります。ドローンからの物の投下は絶対やめましょう。
※ここでいう「物件投下」は、水や農薬等の液体を散布する行為は該当するものの、輸送した物を地表に置く行為は相当しません。
3.例外
上記のように、ドローンの飛行は厳格化されたルールがあり、それらは必ず守らなければなりません。しかし、そんなルールに縛られずにドローンを飛行させることも可能です。国土交通省へ申請し、承認を得ればよいのです。承認さえ得られれば、夜間でも飛ばしたりすることができますし、目視による常時監視の制限も緩まります。
とはいえ、申請の承認には時間がかかりますし、相当の知識・経験が必要になります。
そのことだけはあらかじめ承知しておきましょう。
4.まとめ
ドローンは空中を飛行させる物であるため、事故が起こると必ず墜落といった大きな危険がつきまといます。そのため非常に厳しい規制が敷かれているのですが、とにかく初心者は、まずは以下の六つを厳守する必要があります。
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 地上又は水上の人又は物件との間に一定の距離を確保した飛行
- 多数の者の集合する催し場所上空以外の空域での飛行
- 危険物の輸送の禁止
- 物件投下の禁止
これらは国土交通省の見解ですが、もしこれを破ると、逮捕されるケースもあります。繰り返しになりますが、上記6つはいつでも言えるよう頭の中に叩き込んでおきましょう。
そして、少しドローンについて知識・技術が身に付いてきたら、飛行エリアに関するルールを緩めてもらうよう国土交通省に申請してみましょう。時間はかかりますが、あなたに確かな知識と技術があれば承認されます。きっと、もっとドローンが楽しくなることでしょう。
サッカーが人気スポーツである理由は、「手を使ってはいけない」という厳しいルールがあるからです。
およそ物事は、厳しいルールがあるから楽しいのです。
ぜひルールを守って、ドローンを存分に楽しみましょう!